すごいニッチ手稿

この報告いる?

週記7/18-7/24 ローカル怪談

にゃんこ

ねこちやん

ローカル謎怪談 

深夜に勃発した、地元を舞台に怪談を創作する会

実際の地名はまずいので悶茂(もんも)村としました。

 

【悶茂村天然プールマンの怪】

「悶茂(もんも)村がいかに恐ろしい場所かを教えてやろう。

 君は”スワンプマン”はご存知かな?」

 

「知ってるさ。哲学の有名な思考実験じゃないか。

ある沼で男が死ぬ。その後、沼に雷が落ちて奇跡的な化学反応が起こり、死んだ男と身体・記憶が全く同じコピーが出来上がる。

 

新たに生成された男は、何事もなく日常へ戻るが――はたして彼は、死ぬ前の彼と同一人物だと言えるのか、みたいな問いかけだろう?」

 

「ああ、その通りだとも。

――では、悶茂村天然プールマンはご存知かな?」

 

「悶茂村天然プールマン・・・!?聞いたこと無いな。」

 

「数年前、悶茂村に住むNさんが人知れず川で溺死した。

死肉は微生物たちによって溶けるように分解され、川底に佇む彼の白骨標本は虫や小魚の拠り所となった。」

 

「まさか、川に雷が落ちてNさんが復活したって言うのかい?」

 

「――半分の半分ぐらい正解だ。

Nさんが亡くなった川に落ちたのはエクレアだった。

ある台風の日、観光客の手荷物から吹き飛ばされてきたんだ。エクレアが川に落ちると、奇跡的な化学反応が生じ、新たな生命が誕生した。

 

川から上がって来たそれは、強靭なイノシシの脚で大地を蹴り、鋭利なカマキリの腕を振るい、逞しいクマの胴体であらゆる攻撃をも耐え忍び、瑞々しい白菜の頭部は10年に1度の仕上がりだという。おぞましい限りだよ。

 

この一連の事件が起こった川の名前が『悶茂村天然プール』だったものだから、復活した彼を『悶茂村天然プールマン』と呼ぶわけさ」

 

「なかなかトンチンカンな話じゃないか。それでどうなった?

その浅漬けフランケンシュタインは退治できたのかい?」

 

「いいや、不思議なことに、悶茂村の連中はなにも問題なく彼をNさんとして迎え入れた。

 

そして、いつもどおり草刈りや盆踊り、餅つきの準備なんかを手伝わせた。

 

来月はイモ掘りの後、問答無用でホタルの観察会に参加させるという。

 

君も用心したまえよ。

 

悶茂村とはそういう場所だ。」

 

【はごろも猟友会の無人販売所】

悶茂村には無人販売所が点在している。

その中でも、悶茂村はごろも猟友会が所有する無人販売所には、1台の引き戸型の冷蔵庫に『しし肉50円』の紙が貼られているものの、中身はいつも空っぽである。その事は地元民にとって周知の事実なので、普段は誰も立ち寄らない。

ただし、「悶茂村の無人販売所で万引きが発生した」という噂が流れた翌日に限り、いつのまにか冷蔵庫内にパッケージ詰めされた肉が大量に補充されている。

もちろんこの事も悶茂村では周知の事実で、無人販売所には朝から地元民が殺到して大盛況となり、即座にいつもの売り切れ状態に戻るため、他所から来た人々は一切購入できないという。

 

 

(つぶやき廃棄所)

『AIカニバリズム/AI Cannibalism』とは、AIが「AIによる生成物」を参照してデータを生成してしまうこと。これにより、AI同士で地獄の伝言ゲームが始まってしまい、生成物の精度が落ちる。

『ペグシル/Pegcil』とは、プラスチックで出来た使い捨て鉛筆のこと。ゴルフ用品メーカーである岡屋株式会社が、ゴルフのスコアを記録する用途で開発した。

素数砂漠』とは、自然数の並びの中で「素数ではない数」が連続している区間のこと。 例えば「8,9,10」の並びは「長さが3の素数砂漠」といい、「24,25,26,27,28」は「長さが5の素数砂漠」という。

デンキウナギはウナギとは別の生き物で、「デンキナマズ」はナマズの仲間

『キャロライナ・リーパー/Carolina Reaper』は「世界一辛い唐辛子」としてギネス記録に認定されている。 辛さの指標であるスコヴィル値は驚異の160万超えで、これはハバネロのおよそ5倍にあたる。もはや素手で触るのは危険とのこと。