深夜……ふと、コーラが飲みたくなって家を出た。
そして、近くの自販機へ向かう道中で、暴走した4台のトラックが東西南北から向かってきて……
おれはミンチに転生した。
「うっ……」
思い出すだけで吐き気がする……。
そうして、意識を戻してから数分後……ようやく、自分の体に起きた変化について理解し始めていた。
(どうやら、おれは本当に生まれ変わったらしいな)
まずは、今の体の状態を理解しなくっちゃな……。
自分の体細胞に意識を向ける……。生前は身長170cmのワンブロックだった体も、今では子供でも食べやすい粒度の肉塊の集まりとなったらしい……。
もし、突っ込んできたトラックが4台ではなく8台だったなら、肉塊ではなくペースト状にさえなっていたかもしれない。
そう考えるとゾッとした。
次に、体の動かし方だ。
(よし、やってみるか)
おれは自分の体をイメージしながら手足を動かそうと念じた。すると、肉塊がモコモコ動き始めた。その感覚はまるで粘土細工で遊んでいるかのようだったが、なんとか動かすことができた。
そして最後に、この肉塊が何の肉で出来ているのか、改めて成分分析を試みた。その結果は、人肉38%、牛肉15%、豚肉10%、その他20%という割合で、人間の肉が大半を占めてはいたが62%は人外のものだった。自分は、まるでデビルマンのような、人と異形の合いびき肉なのだと理解した。
おれは体を波打たせ、ハンバーグ状にまとめてから、ニュッと4本足を生やして立ち上がった。こうしてみると、やはり元の体の面影など全くない。だが、不思議と嫌悪感はなかった。
むしろ、前世よりずっと気分が良いくらいだ。
何故だろう? きっとそれは、自分が生まれ変わったという事実を受け入れたことで、人間としての思考回路を捨て去れたからだ。
そうだ、おれはコーラが飲みたかったんだ。その理由はーーあれ?何だったかな?
たしか、硬い肉もコーラと煮ると柔らかくなるって聞いたような気がするから、たぶんきっと、コーラを飲んで、自分の肉を柔らかくしたかったんだろう。そうに違いない。
そんなことを考えながら、おれは肉塊のまま四足歩行で走り出した。
危険物を見つける眼球は既に潰れ、痛みを感じる神経は断たれ、恐怖を覚える脳は細切れになった。
もはや、憂うべきことなど何もなかった。ただ本能の命ずるままに、本能を満たすためだけに、ひたすら駆け抜けるのみだった。
和歌山の宵闇に、1人前のハンバーグが駆る音だけが響いていた。
「AIのべりすと」とのリレー小説
(つぶやき廃棄所)
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