さるところに核誘導弾の翁居き。
いつもどほり、軍の基地に人造人どもを殴れると、
撃ちいそぎが整へば、友人に『いづこへ撃たむや』と尋ぬと、
友人、『いづこにてもありぬべし』といらふれば、
翁ようようと友人の家に照準を定めき。
数秒後、「ですふろむあばぶ」の手と共に核誘導弾警報鳴り響き、
友人宅を中央に据ゑし核汚染範囲おもひかけられき。
友人うろたへて、「まことか」「ひとでなしめ」などと
翁を罵倒すれど、まことな上に、根っからの有袋類変異翁なれば、
事実を並べしに過ぎず、友人邸いよいよひときわ輝く茸雲となりき。
そのけしきを見た翁は笑ひ転げ、腹を南北朝のごとく捩らせ、
浜辺に打ち上げられし赤兎馬のごとくのたうちまわり、
やがて帰らぬ人となりき。
昔より「人は僻事繰り返す」とよく言へども、
おのれよりすずろに繰り返すべからずや。
真に利益の有る時こそですふろむあばぶべけれ。